大阪IBD

2025/08/04
  • 医療情報

薬事ニュース 患者会リレーインタビューに掲載!

【薬事ニュースさんに取り上げて頂きました】
(シリーズ連載)患者会リレーインタビュー

第126回炎症性腸疾患
「一般的な認知度がもっと向上されてほしい」

↓記事をテキスト化しましたので、ぜひお読みください!

IBDとは炎症性腸疾患の略語で、潰瘍性大腸炎とクローン病の総称となる。IBDは再燃と寛解を繰り返すことが多い指定難病の慢性疾患で、現時点では原因が解明されておらず、根本治療もない。一方で適切な治療コントロールができれば、ごく普通の生活が送ることができるのも大きな特徴だ。「適切な治療で症状がコントロールできれば充実した生活が送れる」と話す、大阪IBDの共同代表である三好和也氏に聞いた。

–患者会の活動内容について教えてください–

三好 大阪IBDの発足は1988年2月で、日本でもっとも長く続くIBD患者会だ。私たちは「IBD患者さんを笑顔にするため」を目標に「有益な情報を入手できる」「知識と知恵を得られる」「たくさんの仲間ができる」ことなどができる場として患者会を立ち上げた。具体的には2〜3か月に1回交流会を実施するほか、会報やHPでの情報発信、医師相談会なども行っている。私たちは患者会としてしっかりと最新の情報収集を行い、会員の皆様に情報提供することを心掛けている。一方で患者自信も疾患とむきあっていくため、自分の患者力を向上していくことも重要だ。そのため、医師相談会などを通じて、医師の方々と親しんでもらい、医師とのより良いコミュニケーションが可能になってほしいと考えている。

–日常でどのような困りごとがあるか教えてください–

三好 IBDの患者は年代が様々。お子様から成人の方もいらっしゃる中で、就学や就労、結婚や出産など人生のターニングポイントにおける困りごとをよく耳にする。私自身は病気になる前、会社員としてばりばり働いており、頻繁に国内・海外出張に飛び回っていた。しかしIBD罹患後は海外出張をNGとし、仕事のペースを極力抑える調整が必要となった。それでも腹痛や下痢などの症状が出ることが不安で、食事をガマンするようになってしまい、結果、心身ともに追いつめられて会社を休職せざるを得ない状況になった。現在は自分に合う薬と出会い、問題なく生活が遅れているため仕事に復帰している。一方で外出先でのトイレには不安があるため、移動時間の電車の乗り継ぎに時間をかけ、トイレにいく余裕を確保するようにしている。また体調悪化、再燃の不安は常にあるため、少しでも「疲れているな」と感じる時は無理をせずになるべく休んで睡眠をとることを心掛けている。

–疾患を取り巻く課題についてどのようにお考えでしょうか–

三好 罹患から10年が経過し、これまで治療薬を10種類試した。薬は人によって相性もあるため、自分に合う薬に出会うまでは長い時間を費やした。例えば非常に良く効くが、薬疹が出てしまったり、だるくて気持ちが下がってしまったり、副作用に苦しんでやめざるを得なかった薬もあった。現在は症状が落ち着いており、仕事をしながら患者会の活動や地域活動を行い楽しく過ごしている。「適切な治療に出会うと充実した生活が送れる」ということは、この疾患でなやんでいる方々に最も伝えたいことの一つだ。IBDは再燃と寛解を繰り返すことが特徴の疾患だが、長い間症状が落ち着けば健常な方と変わらず普通に生活が送れる。仕事や結婚も問題なく行える。こうしたポジティブな面をみていただくことも、患者会を続ける理由の一つだ。

–これからの治療薬や社会へ期待することは–

三好 IBDに対してさまざまな治療薬が出てきているが、現時点では完治に至らない。将来的には再燃を繰り返さず、IBDが完治するような治療薬など、医療のさらなる発展を心待ちにしている。再燃への不安が減ることが私たちの一番の希望だ。またIBDは難病認定されているものの、疾患の知名度はそれほど高くない。一方で「がん」は非常に知名度の高い疾患だ。社会のありようとして、IBDもがんのようにもっと認知度が向上することを期待している。それによって難病に対する社会全体からの理解度がさらに高まり、疾患を抱えながら生きる人のQOLが少しでも向上することが期待できる。とにかく知ってもらいたい。そして理解してもらいたい。そしてIBDの方には、適切な治療で症状がコントロールできれば充実した生活が送れるということを強く伝えたい。