Vol.14 IBDで心が強くなる
昔、私は気が弱かった。何をするにも、まず、相手の機嫌を考え過ぎて、自分が苦しくなるパターンだ。さらに、「言わずに後悔」「言って後悔」の二重苦だった。
その心の弱さが、IBDになったお陰で、最近は、随分と強くなった気がする。年齢を重ねた今は、強気の自分に自分が一番驚いている。
IBD初期段階は、正直、今より凹んでいた。「弱い自分を認めない、現実逃避」の長い低迷飛行が続いた。新興宗教、健康食品、漢方にだより、学業はせず麻雀三昧、後から考えれば「勿体ない青春時代」であった。
ようやく、IBDと正面から向き合い気持ちになれ、当時の最新医療エレンタール(今も有効大)を飲み始めて、体調回復と共に、自分と向き合える気持ちの余裕が出てきた。
その前向きな気持ちになれたのは、自分が受け入れ難い「難病」を、心が受け入れた部分が大きい。それが自信となり、興味が「病気」から「自分自身のこと」にシフトするようになった。自分を信じることが出来れば、他人のことは気にならない。「マイウエイ」である。
IBDは難病で辛い。でもそれを受け入れれば、最強クラスの精神力が得られるとも感じた。
足の不自由な方の車いすテニスやバスケットボールなどを観戦すると、その「明るさ」が際立って見える。苦難の末に、獲得された心の強さと懐の深さだと思う。
IBDは外から見えにくいため、「隠しやすい」「逃げやすい」疾患であり、隠す方へ向かいがちだ。それもアリだと思う。人間なんだから。
反対に、IBDのことを聞かれても「平気」でもありたい。何を聞かれてもIBDの現実を淡々と答えるだけだ。そこにコンプレックスはない。自分があるからだ。相手には「それが何か」と流せば良い。
コンプレックスは、どうしても人生を横から見てしまう。
普通の人では受け入れられない「難病」を受け入れた自分を誉めてやりたい。強い気持ちで人生を歩んで頂きたい。そうすれば、「難病」は人生のプラスになると思う。神さまからの贈り物とも思える。